姫路教会 相生支部 赤穂東中学校二年生 藤本尚美さんが、『兵庫県学校図書館協議会賞』を受賞されました。
受賞された感想文は以下の通りです。
『語り継ぐ戦争の悲劇といのちの重み』
戦争。これが事実として今もこの世界に存在することが許せない。この本を読んで強く思った。
この本を書いた石元シゲ子さんは、人間同士の戦争や心の戦争と真正面に立ち向かって生きた方だ。 彼女は、太平洋戦争のとき私と同じ14歳だった。 小学校を中退し、11歳から働き、持ってきた本が反戦思想だと言われ特高に死ぬほど殴られ・・・。私だったら耐えられない。家族にも会えず、工場で働き続けるなんて考えられない。 考えたくない。
「日本は強い国だ。 日本は神の国だ」と信じ込まされて、自分の本当の意見がいえない世の中。 無理やり自分に言い聞かせ信じようとすればする程、不安と絶望感が風船のように膨らんでいったと思う。 思ったままの自分の意見が言える、これは当たり前じゃないんだ
今は、家柄や職業などでの差別は無い。 でも彼女は、生まれた村のことで小学生の時にひどい差別を受けた。 彼女の言葉にならないつらい想いがひしひしと伝わってきた。 「産まれる家をえらべ。産まれる腹をえらべ。」などと、誰にも言う権利は無いはずだ。 いのちという輝くものをもって産まれてきた子に、一生懸命生きている子に優劣なんかつけることは出来ないのではないか。 どの子もどの人も、一人の「ひと」として平等であるべきではないのか。 私は読みながらそんな想いが湧いてきた。
戦争は、町を焼きつけた。 人々の体をいためつけた。 そして人々の心をも、ずたずたに引き裂いた。 人々のいのちを奪い自由を奪い何一ついいことのない戦争。 なぜ繰り返し起こったのだろうかと思う。
昨年私は、戦争で傷ついた子どもたちにおもちゃや文房具の入った袋を届けに行くボランティア隊として、アゼルバイジャン共和国を訪問した。 そこでは、戦争で笑顔を失った男の子に会ったり、現地の方のつらい心の叫びを耳にしたりして、戦争のむごさを肌で感じさせられた。 地域や環境が違うだけなのになぜこんなに苦しい思いをするの・・。同じ地球に生きている仲間なのに・・。 ぶつけようのない怒りが込み上げた。
文房具などを届けるボランティア活動が、直接戦争の廃止にはつながらないかもしれない。 けれど、自分の意見が自由に言える今だからこそ、私にはこの体験と世界の現状を多くの人に伝えていく義務があると思う。
なぜなら、平和を祈り行動する人が一人でも増えることが、平和への第一歩だからだ。
それが、つらい過去を掘りおこしてペンを走らせ、私たちに平和を託した石元シゲ子さんの想いを無駄にしないことだと私は思うから。
受賞の感想
受賞の知らせを聞き、大変嬉しかった。
「ゆめポッケ親子ボランティア活動」のことを伝えて行きたいと常々思っていましたので、このことでたくさんの人々に平和について考えてもらえる事が出来てよかったです。
ちょっと肩の荷がおりたと思いました。