4月号「佼成」の会長先生の「ご法話」を拝読させていただき、感じたことを書かせていただきます。
今月は、『 香る風のような人に 』というテーマを、
◎ 心に春風が吹きわたる ◎ みんな「徳のある人」 の2段落でご解説いただいた。
まず、『 心に春風が吹きわたる 』の段落では、
〇日本の春の情景を美しく表現した歌の一つに、滝廉太郎作曲による「花」があります。
〇その春の花の代表格は桜ですが、桜の花を見るよりも先に、梅や沈丁花[じんちょうげ]や辛夷[こぶし]の甘い香りをのせた 風に、春が訪れた喜びを実感する人も多いのではないでしょうか。
その喜びにも通じる言葉が、法華経の「序品[じょほん]」にあります。「栴檀[せんだん]の香風[こうふう] 衆の心を悦可[えっか]す」 ―― この一説を開祖さまは、「仏さまの香風が衆生の心の中に入ってくると大歓喜[だいかんぎ]が生じる」と、簡潔に説明しています。
仏の教えに出会えた私たちは、その教えを聞き、学び、実践していくなかで、数々の気づきを得ます。
〇そうしてほんとうに大切なことに気づき、悩みや苦しみから解き放たれた悦びを、私たちは「教えによって救われました」と、思わず口にします。それが、開祖さまのいう「大歓喜が生じる」でしょうし、そのときその人は「悦可」しているのです。
〇私たちは、仏さまにお目にかかることはできません。ただ、たとえば本会の大聖堂などで、教えのなかに仏の慈悲を感じとり、その教えを実践することによって生きる喜びに目ざめた人の体験説法を聞くと、私たちもまた悦びを覚えます。それは経文のとおり、教えの尊さが胸中に吹きわたるからだと思います。
『 みんな「徳のある人」 』の段落では
〇越後の良寛[りょうかん]さんは、この「栴檀の香風 衆の心を悦可す」を学び、「一生成香[いっしょうせいこう]」(一生、香りを残す)を座右の銘にしたといわれます。「生涯、人の心をあたたかく包み、和ませ、悦びを与える香風のような人でありつづけよう」と思い定めて、そのとおりに生きたということです。
ただ、法句経[ほっくぎょう]に「徳のある人びとの香りは風に逆らっても進んでいく」「徳のある人はすべての方向に香る」とあるように、人の心を「悦可」するには「徳分」が必要という見方もできそうです。修養や善行の積み重ねが「徳分」を身につける決め手なのかもしれません。
しかし、そういいきれないとも思うのです。私たちがいま、この世に一つの命を授かって生きているというのは、大自然の徳はもちろん、先祖や親の徳をいただいているからです。一人ひとりが、すでに豊かな徳を具えているということです。ですから、私たちは自らの「徳分」に気づけばいいだけです。気づいて、それを成長させれば、だれもが香風を運ぶ「徳のある人」になるのです。
そこで大切なのは、「有り難い」という気持ちです。なにごとにも感謝を忘れない素直で謙虚な人には、自然に人が引き寄せられます。そのうえで示す、明るく、やさしく、あたたかい態度や言葉は、持ち前の徳をいっそう香らせることでしょう。
〇釈尊降誕月[ごうたんづき]であるこの4月をもって、平成が改元されます。これは、平和を醸成[じょうせい]する務めがマンネリに陥らないよう、心を新たに切り替える機会をいただいたものと私は受けとめています。仏の教えという香風を運ぶ生き方が、いっそう大切になります。
と、締めくくられた。
今月は、釈尊の降誕を感謝でお祝いすると同時に、そのおかげさまで悟られた真理「諸法実相」を理解し、自らの “ 仏性 ” を自覚し、成仏をめざした精進をさせていただけます。そして、ご縁になった方々にも、自らの仏性に気づいていただけるふれあいを心がける、そのことに本気で、本腰で取り組んでいく決定を誓わせていただくことが大切である。
本文では、「序品」に触れていただき、いよいよ実相の解明がなされる方便品を、来月はご解説いただけると思いますが、弥勒菩薩に向かって文殊菩薩が、「世尊はきっとこれから『妙法蓮華』の教えをお説きになるに違いありません。みなさん、合掌して一心に待っておいでなさい」とお説きになります。これから説かれる真理を素直に信じて、成仏への目標に向かって真っすぐに精進いたしましょう。
合掌
立正佼成会 姫路教会
たかとし
教会長 吉 田 高 聡